さて、絶賛国難中ってことになっていますが、被爆&自粛で経済自殺を煽っているメディアをシカトして私は紙や電池の代わりに新しいマイクとたくさんのCDを買いました。そのCDの中から一枚をピックアップして年一度あるか無いかの価値ある(?)CDレビューです。こいつはジャズトランペット奏者のJEREMY PELTの最新レコードThe Talented Mr.Pelt。
ジェレミーペルトは若手の古典スタイルのトランペッターで好きでJAZZを聴いている人にはまま知れた方。ただ新録JAZZを好きで聴いている人口が決して多くない為、一般的には当然無名。古典をとてもいい感じに演じ切れているのこのレコードはとても楽しくて好き、だけど残念ながら今回のポイントはジェレミーがいかに無名の天才ペッターかと言う話ではなく、この最新作を録音、マスタリングしたルディヴァンゲルダーの話。
ルディーヴァンゲルダーを簡単に言うと音楽好きなら誰でも知ってるJAZZレーベルBlueNoteの録音のほとんどを行った人で、同時にレコーディングエンジニアという立場のひとつの理想を確立した人であると思う。こんな時代なので割合減っていると思うけどレコーディングエンジニアの半分はJAZZが好きと言っても過言ではない。というか正確にはレコーディングエンジニアがJAZZ好きなのではなくJAZZ好きがルディーヴァンゲルダーに憧れレコーディングエンジニアを目指す(笑)。
で、どの辺が理想的かというと、BlueNoteのレコードは兎に角“超自然、音がいい、カッコイイ”と言わせる魔法があってJAZZを代表するサウンドを持ったレーベルなのだけど実際はとても小さい組織で録音はルディヴァンゲルダーの家で行ってた。氏が良いと思った手法で音を録るのだけどBlueNoteレーベルの人気と前後してその独特の音に評判が付き、自前スタジオを造り、大手レコード会社のJAZZ録音を受け持つ様になり、そのままJAZZの歴史に名プレーヤーと合わせて重要録音技師としてその名を刻んで今に至る。感性と技術による完璧なプロデューサーエンジニアのサクセスストーリーを体現している。
さらにもうひとつ魅力的なこととして、BlueNoteのレコードジャッケットにはスタジオ録音風景写真と言うものがひとつもないのは家で録音していたので大手レーベルの様なデラックスなスタジオ写真絵が撮れなったことに他ならなかったのだろうけども、評判になった録音方法がバレないメリットも見つけられたようでその後も秘密主義を貫き未だ録音方法は一切空かされてない。おそらくショップスのTUBEマイクをトップに使っているだろうとか、ヴィンテージコンプで有名なフェアチャイルドにBlueNoteからマルチコンプの受注履歴があったとか、地味な情報はあるけど実際はスタジオに入ってもダミー機材だらけで本当に何を使っているのかはよくわからない、らしい。そうゆうところもとても夢があって自分は好き。
ルディヴァンゲルダーの最新録音とはどんな音なんであろうかと楽しみにこの"新譜を探して買った"のだけど現代レコーディングになった今も変わらずとても彼らしいトーンが健在であったことに関心し、そのオリジナリティーとスタイルに多くの教訓を感じずには得られませんです。JAZZ好きエンジニアは一聴あれ。
やっぱり人が見える音楽作品は楽しい。
あと、新譜ってもう探さないと買えないんですね(笑)
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