ヤマハのモニタースピーカーNS-10Mです。10エムとか呼ばれるスタジオの定番スピーカーです。スタジオ古今東西スタジオ内風景で見られるスピーカーです。きっと多くのエンジニアにとってまさしく耳と直結しているモノといえるくらい密接なツールといえるでしょう。で、も、私はキライです。

まず、私にとってはレコーディングやらエンジニアという専門的なポジションを意識させられるようになったあたりで早速生産中止のアナウンスを聞いた気がします。『あ、そう』位にしか思っていませんでしたが、たまたま知り合いの方が音を知っておいたほうが良いというもんで持っています。

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個人的な音のイメージは日本人的フラット。音の奥行きや彫り深さも表現しないしグルーヴも表現しない。遊びをなくした周波数的フラットなイメージのようで意外と"イチ固体"として追い込まれていないので結構ラフ。結果、良い意味で大雑把にまとまりがよく、ミックスが楽。さすがスタジオ定番なのかな?

結構若い頃からオーディオ機器はかじっていてそれなりにワイドレンジ、解像度の高い音、位相特性の良い音も知っていたおかげで最初はくだらねー音。と本気で思っていたもんです。さらに正直に言うと世のエンジニアって音楽リスナーなめてんじゃね?くらい思ってましたがミキシングというものが1歩、2歩、見えてきた頃、なぜ世のエンジニアが使うのかがなんとなくわかった感じがしたもんです。

で、も、私はやっぱり嫌い。
勝手なイメージの世界ですが80`sに象徴される俗っぽいミックスが簡単と感じてます。

日本語の歌の具合を確認には良いですがよく言われるように密閉型ということもあいまって低域は本当に見えにくい。キック、ベースが絡むようなミックスをするには相当な"なれ"が必要です。これができないとどうしても真ん中あたりの直接音や残響成分との兼ね合いだけでまとめてしまい結果腰が軽いミックスになってしまう。

これはまったくもって良い悪いではなく好みの話ですが自分が率先したいミックスの形ではないし、当然率先して使うモニターにはなり得ないかなと感じます。

10Mでいろんなミックスができれば一人前という考え方もありっちゃーアリですが何せ10Mが入手困難なこの時勢に至ってはナゼワザワザとは思ってしまいますし、私好みのミックスするエンジニアは誰も10Mを使っていないという事実が背を後押ししてしまいます。

販売終了後、各社ポスト10Mを狙ってたくさんのモニタースピーカーが乱立していますがまあモニターの定義がよくわからんほど多種多様です。

ギタリストのメイン楽器がフェンダー派、ギブソン派といたりもするのでエンジニアも好きなモニター使って少しずつ個性がでる楽しいんじゃない?とか思う私はきっとリベラル派。